セブンソード

 劇場で観た時に大興奮したのだが、もしかするとハラハラドキドキ、わくわくする武侠映画らしい武侠映画を観るのが久しぶりのせいで(しかも映画館でなんて何年ぶりだろ?)過大評価してるのかなぁと思っていたが、やっぱり大傑作!ツイ・ハークは偉大だ。
 最初の羊たちのアップは映画間違ったか?と一瞬思うが、勇壮な音楽をバックに七剣士が馬で山を駆け下りていくシーンに「七剣」の文字のオープニングにしびれる。このタイトル文字も格好よすぎ!エンドクレジットみると女の人が書いてるみたいだけど、うーん…力強い!
 で、見せ場の連続!しっかり緩急をつけつつも多少強引に話はすすみぐいぐいと物語に引き込まれる。七剣士が天山で剣を授けられるシーンはちょっとした山場だが、莫問剣を授けられた傅青主が「過去を問うなかれ、悔いのない今を求めよ(莫問前程有愧、只求今生無悔)」と晦明大師に言われるシーンは大好きなシーン。下山後、危機一髪の劉郁芳と子供たちを救うあたりもタイミングのよさ、剣士たちの登場の仕方も含め胸のすくような名シーン。こういう武侠映画を観たかった!
 登場人物の描きわけができてないという意見もあるようだが、たしかに全員に大きなドラマは用意されてない(2時間半でされるわけない)。でも描きわけはちゃんとしてるぞ!韓志邦と武元英の成長、傅青主の風格、楚昭南の傲慢さ、楊雲驄の堅実さ、穆郎の若さゆえみせてしまう余裕、辛龍子の一見剛直だがけっこうお調子もののところなどアクションシーンで描いてみせている。素晴らしい。
 ラウ・カーリョン、ドニー・イエン、レオン・ライと言った男優陣は存在感が半端じゃないのだが女優陣も充実している。特に劉郁芳を演じる張静初彼女のブログ…読めん!笑)と十二門将の紅一点・瓜哥洛を不気味な存在感で演じた(けっこうあっさり退場したけど…)チェン・ジァジァ(陳佳佳)が素敵♪この二人にはこれからどんどん活躍してほしい。チェン・ジァジァは当時学生でスタントとしてこの作品に関わってたら抜擢されたらしい。役をもらえるとはいえ半分スキンヘッドにしなければならないというので悩んだというエピソードもなんかいい。チャーリー・ヤンのスタントも担当。そのチャーリー・ヤンもなかなか素敵でレオン・ライに剣の指導を受けてる時にみせる笑顔がすごくいい!韓国女優さんもまあ頑張ってた。
 ドラマ部分も充実。雄大な自然をバックに繰り広げられるドラマはツイ・ハーク監督作品としてはかつてないほど骨太な印象を与える。加えて今回は音楽担当に川井憲次という新たな武器を手にしている。川井憲次にとっても一つの到達点と言える素晴らしい出来の音楽は最強。サントラ聞くだけで鳥肌がたつ!未来を担う子供を印象的に描くツイ・ハーク節も健在。
 数少ない不満点としてはラウ・カーリョン自身のアクションが少ないことやラストバトルがちょっともの足りないことか。ラウ・カーリョン…もうあまり動けないのかなぁ。でもちょっとした動きに独特の味があって笑顔になれる(本格的に動く老ラウ・カーリョンをみたければ『酔拳2』か『超酔拳』をおすすめする)。後者はまあ序章と考えれば納得できる、笑。続編も出来るそうだからその際には4時間バージョンというのを是非出してほしいものだ。
 血沸き肉踊る、これぞ武侠!これぞ活劇!エンドクレジットが流れ始める時には自然と涙が流れる、極上の娯楽映画。