やくざ戦争 日本の首領<ドン>

 とにかくキャストが豪華!出演者一覧みると笑ってしまうくらいに豪華!
 佐分利信、鶴田浩二、松方弘樹、成田三樹夫、千葉真一、渡瀬恒彦、西村晃、金子信雄、梅宮辰夫、田中邦衛、火野正平、内田朝雄、市原悦子、二宮さよ子、高橋悦史、菅原文太…思わず笑顔になってしまいますね♪でも日本版ゴッドファーザーを目指したらしいこの作品、実録路線の延長上にありながら実録もので感じられた出演者たちのはじけっぷりが残念ながら感じられない。重厚といえば重厚なのだが、実録路線の雰囲気も残しながらなので中途半端な印象を受ける。それでも次々と出てくる役者と収拾がつかなくなりそうなところをうまくまとめてそれなりに見せ場もある展開のおかげで飽きずに観賞することはできる。

 特筆すべきは鶴田浩二の演技。1977年の作品なので亡くなる10年前、実際に具合が悪かったのかどうかはわからないが(でも『男たちの旅路』がこの前後にあることを考えればそれほどでもないのか?)、心臓病もちのやくざをみてて悲しくなるくらいによぼよぼと演じてみせている。これ最晩年の映画って言われても信じちゃうくらい。ベッドシーンでも手しか動かない。そしてクライマックス!病気がいよいよ進行し、「字がわからへん」と言いながら自分の組の解散文を書こうとするシーン。鬼気迫る演技ってこういうのを言うんだろうな。画面にくぎづけになるくらいすごい演技。このシーンが観れただけでも得した気分。
 他のキャストは成田三樹夫が幹部やくざをしゃーしゃーと演じていて相変わらずの格好よさ。千葉真一は時代遅れの武闘派やくざを演じているものの不完全燃焼。意外に焦点をあてられている火野正平のエピソードはイタイ。理不尽だけど心情的にはわからないこともないという青年を演じさせたら火野正平やっぱり上手い。高橋悦史は実は影の主役で(松方弘樹が「医者にしとくのはもったいないですね」って言うのは笑った)、いい演技。
 全体的にみてよくまとめあげたなぁという印象なのだが、勢いは感じられず、鶴田浩二にも東映やくざ映画に対しても、在りし日に思いをはせて「昔はよかったなぁ」としみじみしてしまうようなもの寂しい作品。明日の活力につながるような勢いのいい映画を観たいな。