あゝ予科練

 戦争映画の季節ですね!夏と12月は戦争映画の季節です。どちらかというと12月重視な私だが、暑くてやる気の出ない時に喝を入れる意味でも夏に何本かはこういう映画が観たくなる。間違っても『パールハーバー』とかには手を出しませんよう。特撮技術では東宝に何歩も譲るものの、「熱さ」という点においてはやっぱり東映でしょう。
 で、『あゝ予科練』。『あゝ同期の桜』『人間魚雷 あゝ回天特別攻撃隊』に続いてつくられた東映戦記映画三部作の一本というふれこみ。似たタイトル、三部作と同じく鶴田浩二主演で『あゝ決戦航空隊』という199分もある超大作もあるのだが、あれはまた別のアプローチをした作品。
 出演者は鶴田浩二、西郷輝彦、梅宮辰夫、千葉真一、丹波哲郎、池部良と一見豪華だが、鶴田と西郷以外はほんとうにチョイ役。なので梅宮辰夫や千葉真一の初々しい七つボタン姿なんかは期待しない方がよい。
 映画は西郷輝彦がやや崩し気味で歌う「若鷲の歌」で元気よくはじまる。
 鶴田浩二は隊長、西郷輝彦は予科練生。前半は訓練。当時としてはなかなかスピーディーな展開と思われる。教官の室田日出男 が素晴らしい。バットで打てばよいという信念を持っているのが伝わってくるようだ。後半は実戦に出てからの話。まわりは皆特攻していく。しかし鶴田浩二門下は特攻をよしとせず地味でも長く戦い続けようとする。それもやがて限界になり特攻に赴くことになるのだが、このへんの描写がなかなかよい。
 部下と一緒に自分も特攻するという鶴田浩二。下手に描けばただ感傷的なだけだが、ちゃんと理由づけがなされる。今度の特攻は起死回生の最後のチャンス。しかし部下はまだ未熟、飛んでいくだけで精いっぱいかもしれない。だから自分が導くのだ、と。
 西郷輝彦の「戦争はもうすぐ終わる、自分が死んだ翌日終わるかもしれない。しかし自分が死なない限り戦争は終わらない」という自分自身の納得のさせ方も新鮮だ。
 そしてラスト。今度はコーラスでしっかり歌われる「若鷲の歌」で「終」。思わず姿勢を正したくなる締め方である。