トム・ヤム・クン! プレミアム・エディション

 日本版予告編だとおバカ映画の扱いだが、ちゃんとドラマのある骨太アクション映画。
 ドラマがあると言っても凝ったストーリー展開があるということではなく、主人公の怒りや悲しみをしっかり描いていて、それが共感できるものになっているということ。アクションシーンがはじまるまでにしっかりと象との交流を描いているのが効いている。ストーリーそのものはストレート。前作『マッハ!』の仏像だと文化が違うと心底は理解できないが、象になると文化に関わりなく主人公の感情が理解できる。そして今回は主人公がうってかわったように好戦的なので話の展開もはやい。このように世界を照準にあわせた作りをする一方でタイの文化を紹介しようという意気込みも空回りせず、スパイスとして効果を挙げている。表面的な試みではないからこそだろう。
 
 で、肝心のアクションシーンは今回もすごい。何がどうだからすごい、なんて言わせない、ただただ圧倒される。そんなクライマックス級のシーンの連続なのに最後まで飽きさせない構成も見事。
 音楽は前作の味わいはなくなったが、普通に格好よくなった。スローモーションの使い方もちょっとくどいが上手。

 アクションシーンだけでなく、映画全体から感じられるその本気っぷりが熱い渾身の一作。活を入れるには下手なドリンク剤飲むよりこの映画の1シーンを観た方が遥かにいい!