SPIRIT<スピリット>

 以前にもレビューしているがDVDにて再観賞。輸入DVD→劇場→日本版DVDと3度目の観賞だ。けっこう好きなのね、笑。

 映画としてとてもよく出来てると思う。3度目でもまったくダレることなく楽しめた。
 ストーリー展開、テーマ性、リンチェイの演技、美術に音楽、アクションシーンの配置と欠点は極めて少ない。
 でも☆は4つ。不満点はやはりアクションシーン。あの早くなったり遅くなったりする妙な効果をやめてくれるだけでもかなり好印象になるのだが・・・。アクションがテーマを語るためにとりあえず客寄せするための道具になってしまってる感じ。流行の見せ方で派手にみせとけ、という・・・。リンチェイの出身が演武であることを考えれば、下手な効果など使わない方がはるかに見栄えがいいはずだし、ありえない動きは興趣をそぐだけだ。テーマを考えればみせるアクションではなく語るアクションであって欲しかった。そうなればおのずと日本人武道家もアクションで語れる役者を起用せざるを得ないだろうし、ラストの戦いもぐっとみごたえもあるものになったと思う。トニー・ジャーの真似をする必要はないが対ネイサン・ジョーンズ戦を比べても、アクションに対する熱気の差は歴然。他がリンチェイの最高傑作になり得るくらいにいいだけに、惜しい。

 とはいえかなりいい映画。
 大切なのは自分に克つこと、というメインテーマももちろんいいし、過ちは自分の人生をかけて償わなければならないという描写なのもいい。
 「つらいなら思い切りお泣き 涙が枯れたら元気になる」というセリフも心に響く。やっぱり泣きたいときは思いっきり泣くのもいいかもね。で、どんなにヘタレてても友でいてくれる存在のありがたさ。これも涙。
 「身を清くしていれば 潔く生きられる」というのもなかなか教訓的。・・・ヒロイン・月慈は口を開けば教訓めいたことを言ってるなぁ、笑。
 で、トドメは「人は生まれてくるときを選べないが、最後の一歩は勇敢に踏み出すべきだ」。

 観賞3度目にしてやっと泣けました。自然の流れを感じ、自らを律して生きる。なかなかできませんね。覚悟を決めたいい生き方をしてみたいものです。