戦国野郎

 岡本喜八監督による時代劇。遺作となった時代劇『助太刀屋助六』も軽快でよかったが、本作も軽快で痛快!加えてメッセージも明快!芸達者な役者をずらりと揃え、98分を一気にみせきるっ!

 時代劇版『独立愚連隊』とも言われる本作、キャストや内容に共通点も多い。「雑草のように生きる」とはっきりセリフにもしてしまうくらい岡本喜八テイストにも満ちている。でも出来がいいだけに、かえって『独立愚連隊』って特別な作品だと再認識。字面からして最高じゃないですか、「独立愚連隊」。本作はよくまとまっているが、その分パワフルさは若干落ちる。・・・と言っても岡本喜八監督の最高傑作かどうかというレベルでの話なので、普通に考えれば充分にパワフル。

 タイトルの出るタイミングが抜群に格好いい導入部分にはじまって、佐藤勝のノリのよい音楽にのって前半は飛ばす飛ばす。場面転換など遊びすぎじゃないかというくらい、いろいろやってみせるし、役者もリアルな演技なんてはじめからする気がなく、気持ちいいくらい歯切れのよいセリフ回しとテキパキした動作で胸がすく。メッセージ性が顔を出しただ楽しいだけではなくなる後半になるとさすがにテンポは若干ゆるくなるが、変に重苦しくなったりはしない。殺陣は・・・それほど見せ場と思ってないのか、何がどうなったかがわかればいいという感じの演出(だから『EAST MEETS WEST』でせっかくの真田広之にアクションさせなかったのも仕方ないのか・・・)。
 加山雄三って健康優良児っぽいのかなぁと思って苦手だったけど、全然嫌味じゃなくてなかなかよかった。彼が演じる主人公の成長物語でもある。でもやっぱりこの映画は中谷一郎と佐藤允と中丸忠雄でしょう!中丸忠雄は敵役で雑草のような生き方を選ぶ主人公たちとは対極の権力側にいる存在だが、彼なりにプロとして描かれており、格好よい。中谷一郎と佐藤允は、岡本喜八ワールドに出てくるだけでニヤニヤがとまらない~。天本英世は「ぢごく」という素敵な役名だけど、活躍はちょっと控え目。ヒロインは2人出てくるが、男装してたり強かったりとなんだか武侠小説のヒロインみたい。

 大傑作と言うわけではないが、充分に楽しませていただきました♪岡本喜八監督はやっぱり偉大だ!