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小説 ナイト ミュージアム


 珍しく素直な気持ちのせいか、とっても楽しめました♪

 ワクワクする気持ちを思い出させてくれます。夜の遊園地とか、夜の学校とか、夜の病院とかって、何かが起こりそうでドキドキしますよね~。で、夜の美術館。展示物が動いたら面白いだろうな、という子どもっぽい考えをそのまま映像にしたような作品。設定にはいろいろ突っ込みどころはあるものの、変に理屈をこねずそういうもんなんだ、という潔さを受け入れて、あとは起こることをそのまま楽しめばいい。
 
 CG使いまくりの映像ということで、ベン・スティラーの持ち味が生かされないのでは?と心配していたけれど、ちゃんとベン・スティラーはベン・スティラーでした。もちろん薄味ではあるけれど、「この人である意味がない」なんてことはない。よく動き、歌いもし、表情もころころ変わる。SNLの先輩ロビン・ウィリアムズとの絡みもうれしいところ。前半で主人公に美術館の警備の仕事を斡旋するハローワークの女性がベン・スティラーの実の母アン・メアラというのもニヤリとさせられる。そして何よりオーウェン・ウィルソンのノンクレジット出演!とりあえず彼とベンとが絡んでいるとうれしくなるのは条件反射か?スティーヴ・クーガンとどつき漫才を繰り広げて楽しいのだけど、やっぱりベンとのコンビが観たくなる(オーウェンは『シャンハイ・ヌーン』の時のような西部男を演じていて似合っているので、ベンと一緒に西部劇なんてどうでしょ?とりあえず『ズーランダー2』での共演は決定みたいだけど!)。

 ショーン・レヴィはスティーブ・マーチンの『12人のパパ』や『ピンク・パンサー』の監督だけど、クセモノコメディアンの持ち味を適度に生かしてより一般向けの映画を作るのがうまいみたい。決してそのコメディアンの最高傑作にはならないけど、ちゃんとヒットさせるもんなぁ・・・(『12人のパパ』はマーチン映画史上最もヒットした)。

 映画そのものはまさにおもちゃ箱をひっくり返したような映画で、とてもにぎやかなファミリー映画に仕上がっている。ひっくり返しても片付けられなくならないような範囲内でのことなのでスケール感に欠けるというのはある。あといきなりひっくり返しちゃうので「何かが起こりそうな予感」が足りない。タメ、というのか、まあ起こることはみんな知ってるわけだし、ひっそりした夜の美術館の描写になるべきところはベン・スティラーのひとり舞台で騒がしいものになってるけど、これはこれで楽しいので可ですね。逆に祭りのあとのような雰囲気はよく出ているし。

 気になったのは『ナショナルトレジャー』の時にも思ったことだけど・・・。以下ちょっとネタバレ気味なのでご了承を!
 こういう夢物語って「劇場版クレしん」のようにちょっと苦いラストが定番なはずだと思ってたけど、最近のアメリカ映画は違うのね~。現実がそういいものではないから、フィクションの世界では楽しいバカ騒ぎがいつまでも続くものであってほしいということなのか。楽しいことはいいんだけれど、祭りにも終わりがあるということを描かないのは子ども向けのファンタジーとしてはちょっと間違っている気がしなくもない。ま、バカは死ななきゃ治らないってのは、ベン・スティラー映画としてはOKなんだけど、笑。