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どろろ オリジナル・サウンドトラック


 さて突然ですが私は化学調味料をできるだけ摂取しないようにしています。特別グルメというわけではありませんし、それほど神経質に避けているわけでもありませんが、カップラーメンとかスナック菓子とかは基本的に食べませんし、味の素なんかも使いません。大学生の頃は随分食べてましたが、意識的に食べないようになって5年以上になります。・・・でもたまにカップラーメンとかを食べると、味がはっきりしていてわかりやすいせいか、まだ美味しいと感じてしまうんですよね。食べた後胸焼けしたり、口の中がしばらくヒリヒリしてたりとろくなことはないんだけど、食べてる間はとりあえず美味しいと認識してしまう(これが自分でもちょっとイヤ、笑)。
 で、『どろろ』。本命の『プロジェクトBB』が時間があわず(でも数日中に観るさ~)、まあ観てみるかという感じで観てしまったわけですが、食べ物に喩えれば化学調味料いっぱい使ったインスタント食品のような作品でした。「今怒ってるんだ」とか感情をセリフで説明するのは序の口、悲しみを雪が静かに降って象徴してるんだよってことまでセリフで解説してくれるので、非常にわかりやすい。「生き物が必死に生きて何が悪い」とかテーマ(?)もストレートにセリフになっているので観て何を感じとればいいのかもくっきりはっきり。身をまかせていれば、とりあえず楽しく観られてしまう、そんな映画であります。こんなのを楽しんでていいのかなとか思うってしまうけれど、少なくともつまらなくて眠ってしまうということはなかった(今年既に1本あったんですよ、映画館で)し、カップラーメン同様否定しきれないものがあるのは確か。

 役者は中井貴一がやはりピカ一。アクションも演技も1人でこの映画に深みを与えている。主演の2人はまあまあでアイドル映画としては成功してるのでは。柴咲コウの調子のよいセリフ回しはなかなかよいし、『バトルロワイヤル』をみても明らかだが返り血が似合う女優さんだというのを監督は心得ているようで何度も返り血あびるシーンがあってステキ。中村嘉葎雄は余計な説明セリフをベラベラしゃべるので、嫌いな役者じゃないのに(なんてったって仕置人・巳代松ですから)、うざったくさえ感じる損な役回り。

 期待していたアクションは少ない。同じく程小東を招いて作った韓国映画『アウトライヴ』の質・量を見習って欲しいもの。程小東が関わっているせいか『SHINOBI』などに比べると見応えはあるが、いつもの流麗さ・荒唐無稽さがない。思うに役者が中途半端にスタントなしで演じる部分が多いせいではないか、と。全部スタントか本当に動ける俳優ならよかったのに(個人的意見だけどスタントを多用して動けない役者を動いているようにみせる技術は程小東がピカ一。その代わり本当に動けるスターを使ってもそれほど違いがなかったりする・・・)。
 でも音楽はかなり面白い使い方をしている。特にオープニングで流れる「Tuvan Internationale」という曲が印象的! ↓の10曲目。視聴できます。
60 Horses in My Herd: Old Songs and Tunes of Tuva

 ま、文句はたくさんあるけれどそういうもんだと思って観てるし、これはこれで楽しめてしまったのも事実(もうちょっと短くてもよかったけどね)。ただインスタント食品ばっかり食べてると舌がマヒするように、こういう映画ばっかり観てると感覚がマヒしてしまっていい映画を観ても面白く感じなくなるから注意が必要かも、笑。