007 カジノ・ロワイヤル (初回生産限定版)

 長い!ちょっと長すぎる!
 『バットマン・ビギンズ』や『スーパーマン・リターンズ』も長かったけど、みんなが知ってるヒーローの「誕生編」というのはやっぱりいろいろ描きたくなっちゃうものなんだろうか。結果、それなりに楽しませてもらったけど、しばらく観なくてもいいかなという感想。シリーズ最終作をもっと観ていたいと思わせる100分ちょっとにまとめあげた『ロッキー』は偉大だ。

 というわけで力が入りまくっているだけに見応えは充分あるけど、長いしまとまりに欠ける本作。要は詰め込みすぎ。
 おなじみのオープニングに至るあたりなど文句なしに格好いいのに、途中のキザなボンドの描き方もニヤニヤさせられるのに、描きたいことが多すぎるのかすっきり進まない。「最初の任務は、自分の愛を殺すこと。 」とキャッチコピーはワクワクさせてくれるのに、なかなかそういう展開にはならない。本題に入るのはとりあえず一件落着してから。それなりによく出来たストーリーなのだが、泣かせてくれるほどではない。スパイという女に入れ込んではいけない立場なのに、ヒロインに惹かれていくという葛藤が描かれることなく、すんなり恋愛してしまってるあたりがラストが効果的でない理由か。そういえばケビン・コスナーの『ボディガード』も「決して恋に落ちないこと。」とか言いながら何のためらいもなく恋に落ちてたもんな。あ、『スターウォーズEP2』のアナキンもそうだ…。
 というわけで恋愛感情を断ち切るまでのステキなストーリーを期待するとイマイチ。
 でも要所要所に入るアクションシーンは素晴らしいものがあるし、ラストのシメ~この作品中はじめてボンドのテーマが聞けるエンドロールへの流れも完璧。とりあえず次回作もいずれは観てみようかなという気にはなる。

 それと…この映画で一番印象的なシーン。あの素晴らしい拷問シーンは必見!マネする人いそうだな、笑。