GONIN

 前に観たのは大学生のころ。 ずっと「友情」の物語だと思ってました。お子様でございました、笑。
 やー、これは「愛」の物語だったんですねっ!

 暴力団から約1億円を強奪した5人が、しだいに追い詰められていくという物語を食あたりを起こしそうなくらいに濃いキャスティングで描く。これだけのキャスティングはなかなかないでしょう。しかもそれぞれにちゃんと見せ場を用意している。顔ぶれだけでも楽しめるけれど、作品そのものもなかなかハードなノワールものに仕上がっている。同じバイオレンス映画でも三池監督のようにカラっとしていない。石井隆の作風はじとーっと湿っており、登場人物たちへの視線も妙に優しい。もうちょっとこの路線で頑張って欲しかったのだけれど・・・やっぱり女性を撮る方がお好きなようで、笑。とはいえ本作はこれ一作!という意気込みを感じさせるくらい力が入った演出をみせてくれているので、これはこれでよかったのかも。石井隆的な記号「夜の雨、下手なダンス、名美(本作では変化球でナミィ)、縦書き右上がりのフォントでのクレジット」も健在。自分がいいと思うことを思い切ってやってみた感じで、逃げもなければ照れ隠しもない。このへんも三池監督とは対照的(どっちがいいと言うわけではない。) 映画そのものがテンパってる感が作品の緊張感とシンクロして、いい感じ。
 
 どう逃げるか?という物語だけではすまさず、しっかり「愛」を描いているのがいい。基本、男だけの物語なんだけど、笑。昔の東映任侠映画なんかは外国人がみるとゲイ映画にみえるらしいのだけど、それを日本人にもわかりやすくした感じなのかな。こんなにはっきり描いているのに・・・昔はたぶん理解不能なものとしてみなかったことにしてたんでしょう、笑。や、いまも理解できるわけじゃありませんが、まあ映画で観る分にはありかな、と。
 ちあきなおみが歌う「紅い花」がこの切ない「愛」の物語の要所要所で寄り添うように流れるのがたまらない。
 
 少々やりすぎな感じもうまく作用しているように思えて好きな作品。