楽しければいいさ♪
 これがずばり、この作品のテーマ。というか・・・テーマとか言うのも合わないくらい能天気、笑。
 パトリス・ルコント、1995年製作のコメディ。すでに人気を得たあとのせいか、それまでの「モテない男の妄想」からは大きく離脱。ディープな思いを抱く登場人物は皆無。みんなそれぞれに軽い。とはいえパトリス・ルコント、もともとはコメディを多く撮っていたらしいので、こっちが原点なのかも。

 3人の売れないおじさん役者が巡業公演に参加。それぞれに個性的で芝居は好きだけど下手っぴ。これに加え舞台を中止に追い込み保険金をもらおうとしてオーナーが主演女優をつけ狙う。で、次々ハプニングが起きるが、それが観客には舞台の演出と思われ大ウケ!
 ハプニングで本来の舞台の物語が違ったものになっていくという三谷幸喜的な面白さではなく、本当にただハプニングが起きるだけ。観客も話の筋なんてどうでもよくて何かことが起きれば笑う単純さ。観客も楽しんでいるけれど、何より舞台の上の3人が楽しんでる。よいね~♪ 
 キャストはこれ以前のルコント作品の主演男優4人が顔を揃える贅沢さ!これは反則!笑 4人ともみんないい味だが、なかでも1人悪役のミシェル・ブランは『仕立て屋の恋』の時とはまったく異なる弾けっぷりがうれしい。
 この映画そのものもみんなでわいわい言って作ったんだろうな~。なかなか素敵なごちそうでした。
 なんでも楽しまなきゃ損!そんな気にさせてくれる。

 この映画を観て思い出したのは『風の物語』の解説での淀川長治さんの言葉。
 「自分がほんとうに好きなものを作ったら、人の心を打つんです。それがいいものだったら、ね。だから、自分のもの作らな損、何でも、人生もね。