パンズ・ラビリンス 通常版

 おとぎ話はよく「いつまでも幸せに暮らしました」という言葉で終わりますね。
 よく考えれば「いつまでも」という言葉が成立するとしたら、そんなところはひとつしかないわけで・・・。


 アマゾンのレビューでのストーリー紹介はこんな感じ。
 「1944年のスペイン内戦で父を亡くしたオフェリア。
 ある日屋敷の近くのうす暗い森の中に秘密の入り口を見つけた彼女は、妖精の化身である虫たちに導かれ迷宮の世界へと足を踏み入れる・・・。」
 
 さまざまな宣材や作品中の伏線(オフェリアが生まれる前の弟に語るおとぎ話とか)などからオチはすぐにわかると思うので、若干ゆるめのネタバレで。オチがわかったところでこの作品の魅力はまったく失われませんし。なぜならそのオチにどうやってたどり着くかと、それまでの描写が見事だから。現実と夢物語が交差する瞬間といったらもう!
 
 ティム・バートンなどによってダークファンタジーと呼ばれるものも多く作られているが、その中でも本作のビジュアルは圧巻。迷宮の様子はグロテスクだがほっとする。それは並行して描かれる大人たちを主軸にした迷宮の外の方がリアルに怖いからだろう。現実的な怖さと非現実的な怖さなら、後者の方がまだよさそうでしょ? 加えて時々はっとするほど美しくオフェリアをみせる。特に森の巨木の根の中に入る瞬間のシルエット!どきどきするくらい色っぽい。映像にぴったりの音楽の求心力もすごい。最初に「子守唄」が聞こえた瞬間、もうこの作品世界に引き込まれてしまう。

 おとぎ話がなぜ必要とされるのか? それを考えさせる、というよりはわかりやすく描いているのだが、理に落ちることもなく、最後までおとぎ話としての雰囲気を損なわないあたりも作品としてきれい。
 ちなみに映画はレジスタンスたちの勝利の場面で終わるが、史実から考えればこれはつかの間の勝利。だからやはりハッピーエンド、ってことで・・・。
 
 おとぎの国からの誘いは、まあ私には来ないだろうね~笑。