沈黙の報復

 ネットでいろんな映画レビューをみていて思うのですが、セガール映画をちょくちょく観ている人というのはコメディ好きだったりすることが多いようで・・・。や、別に「セガール=お笑い」と言いたいわけじゃないのです。コメディ好きってホラ、楽天的というかもの忘れが激しいというか、懲りないんですよねぇ・・・困ったものだ、笑。

 そんなわけでセガール映画としては久々の傑作と言われている本作を観賞。ま、ようはセガールが出てる以外はごく普通のB級アクション映画です。でもあまり動きたがらないセガールを使ってちゃんとした映画にみえるように仕上げた監督の手腕はお見事!・・・本気でほめてますよ。

 随所にうかがえる工夫。
 たとえばカーチェイス。追われるセガールは狭そうな運転席で困った顔をしてるのがちらちら映るだけ。メインは追う側の2人組が言い合いしながら運転してる姿と誰が運転してるのかわからない車が2台。しかもポンコツであまりスピードが出ない設定!他にも薄暗いところで妙に冴えるセガール拳とか、気にしはじめると気になるけれど、まっさらな気持ちでみたら違和感を感じないレベルに収めている職人芸。
 今回は息子を殺された父親との設定で、問答無用で暴れまわる。地球を救うとか大きな話ではない分、締まりのある内容だが、謎ときで妙に凝った展開をするせいで途中ちょっと眠気も・・・。ただ復讐をすることについて「(息子を殺した)やつらと同じだ」と言われて「俺の方がワルだ」と答えるなど、ちょいワル親父に徹したセガールもなかなか格好よい。「息子を殺した実行犯を殺せばそれでいい」と言うスタンスもいい感じ。ラストで効いてくる。

 セガールがどういう人物なのか明かされないところもポイント。軍人でも警察でも商人でもない、セガール拳は「ビデオを見て独習(←お笑いネタでもあるので一応伏せ)」と主人公の発言からわかるのだが、電話一本で銃器が手に入ったり、と謎につつまれている。もはや人物設定の説明すら放棄して「なんとなくいつものセガール」で通して、観る側にそれで納得させてしまう地位を確立したと言っていいだろう。セガールだから強い!セガールだから特殊なコネがある!セガールだからあれだけ事件を起しても警察は何も言わない!笑

 このまままだまだ沈黙シリーズが続きますように。
 あ、ちなみに『沈黙のジェラシー』とか『沈黙の暗殺者(テロリスト)』とかはセガール映画じゃないのでご注意を。『羊たちの沈黙』ももちろん違います。