裸足の1500マイル

  「母の待つ故郷まで歩き続けたアボリジニの少女たちを描いた実話の映画化。」とのことで要は母をたずねて3000里。最近観直した『ブラインドフューリー』での職人監督っぷりが素敵だったフィリップ・ノイスが監督ということと、『9000マイルの約束』以来「何マイル」とタイトルにあると反応してしまう(でも『8マイル』は観ませんよ、笑)ってことで観賞。9000マイルの6分の1の距離だから感動も6分の1、なんてことにはならず、『9000マイルの約束』には及ばないまでもなかなか見ごたえのある作品でした。

 距離の話が出てきたのでついでに。
 1500マイルってどれくらいかなーと気になったんですけどね。キロに直すと2414.016メートルなんだそうで。
 で、キョリ測(http://www.mapion.co.jp/route/)という便利なサービスがあるので今住んでる北海道の真ん中くらいから沖縄まで測ると2300キロ強。日本縦断するくらいの距離を歩いていったというわけですね!すごい。ちなみに3000里は1里=4キロなので12000キロ。ここまでくると距離の実感まるでありません、笑。

 実話を基にした9ヶ月に渡る長い旅の物語なのに100分以内で収めるあたり、フィリップ・ノイスなかなかの手練ぶり。長くてもダレない作品もありますが、この物語は短くて正解。
 アボリジニの子どもを保護施設で教育してあげようという白人の押し付けがましい善意により母と引き離される少女たちが施設を脱走して旅をするというストーリーで、白人側が悪人ではない悪役というところがミソ。「よかれと思って」することが相手のためにならないということもある、という・・・まあそんな単純な話じゃないんですが。悪い人じゃないのに嫌な感じな保護局局長ネビルをケネス・ブラナーが好演。「追跡者」と訳されているが、足跡を追うトラッキング技術を身につけ白人の奴隷として少女たちを追うアボリジニという微妙な立場の人物はじめ、いろいろと示唆を含む脇役の人物配置もシンプルな物語に奥行きを与えている。

 主人公の3人の少女が当然有名ではない一方、ピーター・ガブリエルによる音楽、クリストファー・ドイルによる撮影・・・とスタッフは豪華。実験的な試みに走ることなく力強く物語をサポート。
 
 全体的には若干、物足りない感じもするが、踏み込むととんでもないことになりそうなので、このへんがいいところなのだろう。よい映画。