「タバコはゆるやかな自殺・・・だから吸うの」
 というようなことを言った友人がいましたが、その人は今でもタバコを吸ってるのだろうか。
 そんなことを思った作品でした。

 この映画、嫌煙の時代に対する嫌味なのかというくらい喫煙シーンが多い。
 主人公たちはキルドレと呼ばれる大人にならない子供たち。ショーとしての戦争を行い死ぬまでは死なない彼らが、何かあるたびにタバコを吸う。
 繰り返す日常に対するストレスがそれだけ大きいということの表現なのかもしれないが、それ以上に「死ねない」ということに対する無意識的な反抗なのではないかと感じた・・・いや、観終わったあと思ったのですけどね。逆に大人たちの喫煙シーンはほとんどない(と思う)。
 終盤、ヒロインがタバコを吸おうとしてやめるシーンがある。これは永劫回帰ともいえる絶望的な運命を受け入れ、一歩前にすすむ決心のあらわれではないかと。だからこそ最後の最後、彼女のオフィスに灰皿があったかどうか見逃したのが悔やまれる、笑。これから観に行く方、ぜひそのへんも確認してみてください!笑


 観終わった直後は「うーん、いまいちかな」と思ったのだが、思い返すとだんだんよくなってくるいつもの押井守パターン。設定や予告編、いくつかのレビューでラストまでの展開はほぼ読めてしまう。こちらの想像を絶するような展開を期待していたのだが、それがなかったので。「やられた!」というところがひとつでもあれば・・・というところで思い至ったのが上記のタバコの使い方なのだが、さて・・・。
 テーマ的には考えることができる要素はいくらでもある。普通に考えればネガティブにとらえてしまいがちな「繰り返し」だが、これは何度でもやり直しがきくということでもあるし、キルドレたちは死ななくてもまわりの大人たちは確実に歳をとっていくはずでその時にどう世界が動くのかも興味深い。「ビューティフルドリーマー」が「楽しい時間がいつまでも続けばいい」→「たとえつらいことがあっても現実の方がいい」という脱却だったのに対し、本作の「繰り返し」は本人たちは別に楽しいと思っているわけではないのも比較すると面白い。

 主題歌が意外にいいという話だったのだけど、これは私にはいまいちで印象に残らなかった。『イノセンス』の「Fallow me」の反則的なインパクトはもとから望むべくもないが、川井憲次によるあのメインテーマに完全に負けている。

 不満もあるけれど、それでもいろいろといいタイミングで観ることができてよかった!