シティ・オブ・ゴッド【廉価版2500円】

 地球の裏側で作られた「仁義なき戦い」!
 …と期待を煽るようなことが言われていた本作。
 
 たしかに抗争の実録もの、手持ちカメラによるスピーディーな映像、若者たちの群像劇…と共通する要素は多い。鮮烈な印象も同様だ。
 しかし決定的に違うのが『仁義なき戦い』はプログラムピクチャーの奇跡的な到達点として深作欣二も笠原和夫も脂に乗り切っていた時期に作られたのに対し、こちらは監督も脚本もこれが初作品。演出や構成ではどうしても見劣りしてしまう。テンポは悪くないがエピソードを章立ててみせる手法はちょっとしつこいくらいに繰り返されるし、クライマックスに向けての盛り上がりもいまいち。あとこれは言葉の問題が大きいとは思うが名セリフのつるべ打ちだった『仁義なき戦い』に比べると印象的なセリフはない。

 とはいえけっこうな数が出てくる登場人物をまったくなじみのない役者を使いながら、ほとんど混乱を感じさせずに物語を理解させる手腕はやはり非凡。この監督、もうちょっと焦点を絞った題材を扱えば、かなり期待できそう。
 なじみのない文化や生活の様子で素直に映画に入っていくことができないが、ある時代を切り取った、そんな印象は受ける作品。