メメント

 『ダーク・ナイト』で圧倒的な演出力をみせたクリストファー・ノーランが一躍有名になったきっかけの作品。
 かなり変則的な設定だが持ち前のぐいぐい引き込んでいくような演出力はこのころから素晴らしいのひと言。
 ラストのオチですっきりできなかったのでちょっと評価低めだが、何度か観て内容をちゃんと理解できたら評価は変わるかも。
 …とはいえ、もう一度観る気には今はなれないけど。頭を使わされました、笑

 記憶が10分しか保てない男が妻を殺した犯人を捜すまでの物語をちょっとずつ時間を遡りながら描くという思いついたとしても誰も一本の映画にしようとしないような発想をものの見事に作品にしてしまった!時間軸が逆行することで「あれ?これはどのシーンにつながるんだっけ?」という記憶喪失の疑似体験ができてしまうという構成もふるっている。ムダなシーンはなさそうなので、ちょっと中だるみしてしまうのはきっと注意力不足なんだろな、とこっちが謝っちゃいそうになる、笑。

 結末からはじまるのに、どんどん時間が戻っていくにつれてわけがわからなくなってくるという展開は、すごいのひと言。
 ちゃんとラストがクライマックスになっているし、隙がない。
 オチへの伏線もちゃんと張ってあるのかな…。
 いろいろと気になることはある。

 謎解きでの興味だけでみせる映画ではなくヒロインに別れ際「私のことも忘れるの?」と聞かれうなずくシーンなどは設定を活かしたなかなかの名場面。
 主人公は3歩歩けば忘れる、を地でいく人物なので、追われて走ってるのに「こいつを追っているんだ」と一瞬間違ったりもする、笑。というかこの設定はむしろコミカルば描写向きかも。

 物語の語り口が話題になった『バンテージ・ポイント』はこの作品がなければなかったんだろうな、とも。
 あちらはオチは弱かったけれどちゃんとハリウッドのメジャー作品らしい盛り上げ方をしていたし、すっきりもするので後味はこれよりかなりよかったけど。