ヒトラーの贋札

 これぞ職人のダンディズム
 格好よすぎ!

 贋作作りというのはものを作るという行為の中でもその評価が騙せるか騙せないかという一点につきるため非常にシビア。腕のよしあしもはっきりしており、だからこそ「職人」としての姿が集約されている。
 しかもこれは戦時中、ナチスに強制されポンド札やドル札といった贋札を作る物語。命を賭けた職人仕事をみることができる。

 アカデミー外国語映画賞受賞という理由でちょっと敬遠していたのだけれど、なかなかの良作。
 序盤まるでフランス映画のような洒脱な雰囲気ではじまるが、れっきとしたドイツ映画。贋札作りの描写はまさに職人の国ドイツならではという印象。
 主人公はじめナチスに贋札作りを強制されるのはユダヤ人で、そのへんはメインテーマなのだろうが、それよりももの作りの矜持という部分が秀逸。ポンド札の贋札が無事銀行に真札と認められたのを聞いて喜ぶシーンなど、命が助かったからというよりは仕事が認められたからの喜びにみえてならないし、「仲間は決して売らない」というルールなどもプロの集団といった趣き。
 結果、どんな状況でも自分の生き方を貫く主人公の姿からはユダヤ人としての葛藤(贋札を作らなければ自分の命が危ないが、作ればナチスの利益になり同胞を苦しめることになる)よりも、プロフェッショナルとしてのプライドをひしひしと感じることに。一流とはこういうことか!
 
 劇中、ポンド札ははやばやと贋札を作れてしまうのだが、ドル札はなかなか難しく手こずるという描写があるが、これは米国アカデミー協会が喜びそうだなーとちょっと思った、笑