傷だらけの男たち

 『インファナル・アフェア』のスタッフ&キャストが多く集まり再び男2人のドラマを作り上げたということで話題になった作品。
 あの傑作と比べるとどうしても分が悪いが、同じ路線ではなくこういうのを作り上げてしまうあたりは素晴らしい。

 ずいぶんとムード満点ではじまり、一気に引き込む冒頭のシーンはさすが。
 トニー・レオンと金城武。それぞれに傷を負った男2人の物語。『恋する惑星』でちょっとだけ共演、『レッドクリフ』が控える2人。トニー・レオンはもちろん、金城武もかなり存在感をアピール、対等に共演してます。
 どちらも暗い…。全体的に渋めに決めたムードは感じさせてくれるのだが、ちょっと途中で中だるみも。
 もともとわかりにくいのもあるが、意識してないのにチャップマン・トーが出てくると「無間道」シリーズの「キョン」だねー、と頭に浮かんでて、本作の登場人物にも「キョン」がいたりしてこんがらかる…ええ、私が悪いんですけどね、笑

 妻の父を殺すトニー・レオン。妻も殺そうとしてる描写があり・・・なぜ彼はそんなことをするのか?
 やがて明らかになるのだが、それがわかってからのラストの展開は地味だがそれまでの中だるみを吹き飛ばすくらい心に突き刺さる。
 ただ、そのあとちょっと余計では?という描写もあるのだけど・・・で、トドメが突然聞こえる日本語の主題歌。これで余韻がかなりかきけされる。
 『SPIRIT』などと違い差し替えではなく正式な主題歌ということだけど…まさか『レッドクリフ』でもこんなことになるんじゃあ…エイベックス配給だしなぁ、ちょっとイヤな予感。

 スー・チーも素晴らしいし、連動して大きな効果をあげているとは言えないのだが、ひとつひとつみればいいところの多い作品。