トロピックサンダーOST
Tropic Thunder

 本気のバカは格好いい!
 
 それを証明する作品がまた新たに誕生した。
 もう登場人物全員バカ!でも全身全霊かけて生き方を貫いているので格好いいことこの上ない!

 ストーリーをさらっと読むと最近では『ザ・マジックアワー』で三谷幸喜も挑戦した状況勘違いコメディ。シリアスな状況に置かれているのに本人はそれに気づいていないというスリリングさと、勘違いを加速させるまわりの反応を楽しむというもので『ギャラクシー・クエスト』やこの手の金字塔『サボテン・ブラザーズ』という傑作を生んだ。それを戦争という現実と本人たちの認識のギャップの激しい設定で、SNL出身で活躍中のイキのいい面子が作るのだから当然期待するなという方が無理!
 …ところがこれは勘違い系のコメディではなかった!なぜなら登場人物が早々と現実を認識してしまうから。
 この映画の面白みは主人公たちの状況の勘違いぶりではなく、戦場においてもブレることのない主人公たちの勘違いぶりにある。生死が問われる場面でも役者論を展開しはじめ、自身のアイデンティティーに悩む。本人たちはいたって本気なのに「役者」という根本のところが違う人々なので、感覚的にズレがあり、そこが笑いを誘う。チャップリンの言う「人生はクローズアップで見れば悲劇。ロングショットで見れば喜劇。」をより強調した格好だ。男性モデルを描いたベン・スティラーの監督前作『ズーランダー』もそうだった。今回は自らも役者である彼が役者を描くということで「感覚のズレ」を突き放して笑いに転化することはできなかったようで、ひどい勘違いぶりにもどこかしら誇らしさが漂う。これをよしとするかどうかで評価は変わってくるが、私はもちろん大OK♪
 そしてクライマックスに待っているのは傑作アクション映画並みに熱い高揚感!

 思っていた映画とは少々違うがとてもよい映画♪
 本気でできない部分を笑いに逃げた「バカ映画」が多い中、どこまでも本気でバカであることを追求したこの作品こそが真の「バカ映画」!何かにバカになれるって素晴らしい!

 あ、そうそう。この映画、トム・クルーズがはじめて格好よくみえた映画でもあります、笑。
 みんな本気だからこそ格好いい!