3歳の娘との映画鑑賞記録 ~風人日記~

最近は娘と一緒に映画を観ることが多いので、感想だけでなく、そのときの娘の様子なども記録していきます。 子供にどんな映画をみせたらいいかの情報も募集中! 子供が生まれる前の感想もそのまま残してあります。

カテゴリ: 日本映画

自虐の詩 プレミアム・エディション

 中谷美紀の不幸っぷりは笑いを軽く通り越しひたすら痛々しい…とりあえずバッドエンドじゃないらしくて泣けるよと聞いてなければ途中でやめてたかも
 でもそういえば昔の日本の喜劇ってこんな感じかもねーと思ったりも。ただ男が不幸になるのは笑ってられますが、女性が不幸なのはちょっと・・・ってことを言うと男女平等の現在、怒られてしまいますか、笑。ま、基本的に精神衛生にあまりよくない不幸描写の数々・・・決して好きな映画にはなりえないのですが、後半、強引な泣かせ技を決められたのであと味は悪くないです。

 この映画、なんといっても中谷美紀につきます。
 やはり不幸っぷりがすごいと評判の『嫌われ松子の一生』は不幸なだけで終わりそうなので観てないので比較できませんが(同じじゃん、という話も一部であったり・・・?)、『ケイゾク』以降久々に観る彼女の演技はやはり圧倒的で、改めて化け物みたいな女優さんだと思いました(←褒めてます)。回想シーンでのはすっぱさ、イサオのダメっぷりを悲しむ姿、それと対照的ないいところを見せられて喜ぶ姿、どれもこれも感情移入せざるをえない素晴らしさ。抑えた演技とかそんなのとはまた違う、いかにも演技だと認識しながらも引き込まれてしまう力強い演技。現在邦画界の至宝ですな。

 阿部寛は出番のわりに目立たず。
 ロン毛とパンチ(笑)という2パターンの姿をみられるし、不器用な愛をみせつけてはくれますが、地味な印象。映画としてはこれでよくまとまってるのでよいのではないかと。

 エンドロールで流れる安藤裕子により主題歌「海原の月」も内容に合っててよいです。
 (エンドロール後のセリフはちょっと余計かなー)

 敬老の日に観たのでした。

 「映画秘宝」では「敗戦国のスペースカウボーイ」とか「翁たちの挽歌」とか期待をあおりまくるフレーズで高評価だった本作。だけどそんなにいいか?と言われるとうーん…。
 たしかに日本映画の黄金期を支えた3人の俳優の味わいは否定しがたい魅力に満ちているのだが、話がなんとも退屈。全体的にセリフが空々しくて、それが老俳優たちが演じるとまだみていられるのだが、若い俳優たちが演じるとみていて恥ずかしくなってくる。話も物語上「悪役」が必要とはいえ、これが気分が悪くなってくるようなもの。東映ヤクザ映画の遺伝子を継ぐ映画という噂を耳にしていなければ途中でやめていたところ。最後の殴りこみで気分の悪さをスカっと解消してくれればいいのだが、あまりにもあっさり終わってしまうので不完全燃焼。この控え目っぷりがワビサビなのだよ、と言われるとそれまでだが、もうちょっと何とかしてほしかった。テレビドラマで『三匹のご隠居』というのがあったが、ああいうのがみたかったなー。

 とはいえ終盤、それまでの地味なドラマのテンションのまま東映ヤクザ映画をなぞる展開にはワクワクさせられる。老人2人が散歩にでも行くかのような画面なのに、やっていることはまさに道行き!静かに熱い。面白い映画ではないけれど、嫌いにはなれない作品。

 「タバコはゆるやかな自殺・・・だから吸うの」
 というようなことを言った友人がいましたが、その人は今でもタバコを吸ってるのだろうか。
 そんなことを思った作品でした。

 この映画、嫌煙の時代に対する嫌味なのかというくらい喫煙シーンが多い。
 主人公たちはキルドレと呼ばれる大人にならない子供たち。ショーとしての戦争を行い死ぬまでは死なない彼らが、何かあるたびにタバコを吸う。
 繰り返す日常に対するストレスがそれだけ大きいということの表現なのかもしれないが、それ以上に「死ねない」ということに対する無意識的な反抗なのではないかと感じた・・・いや、観終わったあと思ったのですけどね。逆に大人たちの喫煙シーンはほとんどない(と思う)。
 終盤、ヒロインがタバコを吸おうとしてやめるシーンがある。これは永劫回帰ともいえる絶望的な運命を受け入れ、一歩前にすすむ決心のあらわれではないかと。だからこそ最後の最後、彼女のオフィスに灰皿があったかどうか見逃したのが悔やまれる、笑。これから観に行く方、ぜひそのへんも確認してみてください!笑


 観終わった直後は「うーん、いまいちかな」と思ったのだが、思い返すとだんだんよくなってくるいつもの押井守パターン。設定や予告編、いくつかのレビューでラストまでの展開はほぼ読めてしまう。こちらの想像を絶するような展開を期待していたのだが、それがなかったので。「やられた!」というところがひとつでもあれば・・・というところで思い至ったのが上記のタバコの使い方なのだが、さて・・・。
 テーマ的には考えることができる要素はいくらでもある。普通に考えればネガティブにとらえてしまいがちな「繰り返し」だが、これは何度でもやり直しがきくということでもあるし、キルドレたちは死ななくてもまわりの大人たちは確実に歳をとっていくはずでその時にどう世界が動くのかも興味深い。「ビューティフルドリーマー」が「楽しい時間がいつまでも続けばいい」→「たとえつらいことがあっても現実の方がいい」という脱却だったのに対し、本作の「繰り返し」は本人たちは別に楽しいと思っているわけではないのも比較すると面白い。

 主題歌が意外にいいという話だったのだけど、これは私にはいまいちで印象に残らなかった。『イノセンス』の「Fallow me」の反則的なインパクトはもとから望むべくもないが、川井憲次によるあのメインテーマに完全に負けている。

 不満もあるけれど、それでもいろいろといいタイミングで観ることができてよかった!

 たしかに面白い! 安心して楽しめる。
 でもね・・・・・・ 

 勘違いしたニセモノの物語。
 『サボテン・ブラザーズ』や『ギャラクシー・クエスト』という偉大な先達があり、三谷幸喜もそれらを認識していることはドラマ『合い言葉は勇気』の時期に何かで書いていた。その文章でたしかこの手の作品は勘違いしていた主人公が状況を認識してから、もしくはニセモノだとバレてからが勝負、というようなことを書いていたような気がするのだが(なんの文章だっけか・・・)、どうもその後半がいまいち。

 その代わり前半は飛ばしてくれる!三谷作品は伏線を張るのに忙しくて終盤までかなりの我慢を強いられることが多いのだが、今回はそれがない。売れない俳優を佐藤浩市が嬉々として演じている。のりにのった役者さんの演技ってやっぱりいいねー。
 で、アクション映画では主人公がどんなにいい動きをしてもそれを受けるスタントマンたちのリアクションが重要だったりするわけですが、コメディでもそれは同じ。まわりがどう受けるかが重要。最大の不安要素・メインの妻夫木聡はオールバックにして時折若い頃の唐沢寿明を思わせて、とりあえず流れを邪魔せず立派。あとは安心できる顔ぶれ。西田敏行に寺島進、小日向文世、伊吹吾郎etc。特に寺島進はいつものイメージ通りのコワモテを崩すことなく勘違いし続け笑いを加速させる。そろそろ「怖い顔だけどいい人」が定着してしまいそうなので新機軸は望まれるが、とりあえず今回もいい感じでした。そういえば「アニキに聞けよ」で触れていた「全編笑ってる役」ってなんなんだろう、気になるなー。

 で、シチュエーションがいいので最初からテンポよく笑わせてくれる。
 ただ若干「映画愛」を語りすぎるなーと思っていると、それが後半どんどん増長していくことに・・・。
 こういうニセモノものの感動させるポイントは「ニセモノがいかに本物になるか」に尽きるのだと思う。ニセモノが本物のヒーローになるというドラマと、一旦は人生にやる気を失いかけた主人公が情熱を取り戻すというドラマがシンクロして感動につながるのだ。先に挙げた『サボテン・ブラザーズ』も『ギャラクシー・クエスト』もそうだった。
 ところが今回の映画の場合は「殺し屋」ということで、本物になってしまうと困るというのが痛いところ。三流役者の主人公が情熱を取り戻すドラマはあるものの、相乗効果をあげるはずの要素が使えない・・・代わりに強調されるのが「映画っていいもの」という映画好きなら否定できない映画愛。なんか姑息な気もちょっとするが、問題はそこではなくこれがまったく効果的でないということ。ポイントがずれているとしか言えない。
 うーん・・・いかに画面が派手でも盛り上がらないものは盛り上がらない。

 同様のシチュエーションで予告編からして毒まみれの『トロピック・サンダー』にはげしく期待したい。

(追記)
 日本映画でこのニセモノものの成功例をひとつ思い出したので書いておく。
 それは『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶジャングル』!別に騙そうとしているわけじゃないのだけれど、ヒーローを演じる役者が本物のヒーローになるというのをアニメならではの描写をまじえてみせてくれる。

GONIN

 前に観たのは大学生のころ。 ずっと「友情」の物語だと思ってました。お子様でございました、笑。
 やー、これは「愛」の物語だったんですねっ!

 暴力団から約1億円を強奪した5人が、しだいに追い詰められていくという物語を食あたりを起こしそうなくらいに濃いキャスティングで描く。これだけのキャスティングはなかなかないでしょう。しかもそれぞれにちゃんと見せ場を用意している。顔ぶれだけでも楽しめるけれど、作品そのものもなかなかハードなノワールものに仕上がっている。同じバイオレンス映画でも三池監督のようにカラっとしていない。石井隆の作風はじとーっと湿っており、登場人物たちへの視線も妙に優しい。もうちょっとこの路線で頑張って欲しかったのだけれど・・・やっぱり女性を撮る方がお好きなようで、笑。とはいえ本作はこれ一作!という意気込みを感じさせるくらい力が入った演出をみせてくれているので、これはこれでよかったのかも。石井隆的な記号「夜の雨、下手なダンス、名美(本作では変化球でナミィ)、縦書き右上がりのフォントでのクレジット」も健在。自分がいいと思うことを思い切ってやってみた感じで、逃げもなければ照れ隠しもない。このへんも三池監督とは対照的(どっちがいいと言うわけではない。) 映画そのものがテンパってる感が作品の緊張感とシンクロして、いい感じ。
 
 どう逃げるか?という物語だけではすまさず、しっかり「愛」を描いているのがいい。基本、男だけの物語なんだけど、笑。昔の東映任侠映画なんかは外国人がみるとゲイ映画にみえるらしいのだけど、それを日本人にもわかりやすくした感じなのかな。こんなにはっきり描いているのに・・・昔はたぶん理解不能なものとしてみなかったことにしてたんでしょう、笑。や、いまも理解できるわけじゃありませんが、まあ映画で観る分にはありかな、と。
 ちあきなおみが歌う「紅い花」がこの切ない「愛」の物語の要所要所で寄り添うように流れるのがたまらない。
 
 少々やりすぎな感じもうまく作用しているように思えて好きな作品。

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